読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

7つのローザミスティカの意味とは/おまけでメルクリウスプリティの話

雑記 アニメ 漫画 ゲーム ローゼンメイデン話

 (注:以下、ローゼンメイデンとメルクリウスプリティ、さらにはファントムオブインフェルノからくりサーカスのネタバレを含む可能性があります。)


 ローゼンメイデンの二次創作小説http://d.hatena.ne.jp/settu/20071216/p1を書いたついでの勢いで、ちと考えてみます。
 そもそも、ローゼンさんは、究極の少女アリスを作ろうとして人形を作ったけど、どれも駄目だったので、動力源たるローザミスティカを7つに割って7体の人形に与えた。
 で、アリスを目指せと命令してあとは監視モード。
 そんな話なのだと思うのですが、まぁ、きらきーのような特殊例はさておくと、真紅曰くの「制する」、水銀燈曰くの「集める」等々、とにかく、もう一度ローザミスティカを集めればアリスが生まれるとか、お父様に会えるとか、そういう話をローゼンメイデン達は信じている訳です*1
 で、ちと考えれば分かる通り、妙な話なんですよね。
 ローゼンさんは、最初に一つのローザミスティカの塊(面倒なので、大ローザミスティカとか呼んでみる)を持っていた。
 7体のハードウェアを次々に開発しても(しかも、最後にはアストラル体などという反則スペックにまで手を出しても)、その大ローザミスティカに適応するだけのハードが完成しなかったから、ローゼンさんは失望して「おまいら頑張れ」とだけ言い残してnのフィールドに引っ込んじゃった、と見ることも出来る訳ですよね。というか、少なくとも真紅とかはそういう話を「吹き込まれて」いる。
 ところが、人形達が何らかの形でもう一度ローザミスティカを集めたとしても、そこで得られるものは、やっぱり最初のローザミスティカでしか無い訳です。
 そして、ハードウェアは、7体のうちの生き残っている一体か、もしくは複数か。
 そこに、新しいモノは無い訳です。
 で、まぁ、そうなると、当然の推測として、考えられるのはローザミスティカが、アリスの動力足り得るまでに別のものに変化している可能性をローゼンさんは期待していたのではないか、という話になる訳ですね。
 7体の人形が、戦ったり、媒体と互いの魂を高めあったりする過程で、ローザミスティカも洗練されるのではないか。
 そして、洗練されたものが集まったのなら……。
 そんな期待をローゼンさんは持ったのでは、という話に。
 なんか、ローゼンメイデンみたいなドールズを生み出せるような実力者たるローゼンさんにしては、不確実な方法だ、という印象は否めない訳ですが。
 
 まぁ、実際、原作でも、アニメ版でも、他の人形のローザミスティカを受け入れた真紅が、その人形の記憶を思い出すシーンがあります。
 つまり、ローザミスティカは確実に何らかの変質は起している訳ですね。記憶をちょっと伴っている程度のことでしか無いかもしれないとはいえ。それでも、ただの動力というよりは、もうちょっと意味は重そうだ。
 
 ……ってことは、結局の所、ローゼンさんは、不完全でしかなかった7体のローゼンメイデンを、ローザミスティカを練成(あるいは精製)するための、生けるるつぼとして廃品活用したのかなぁ、とも。この間紹介したネタhttp://d.hatena.ne.jp/settu/20071219/p2の、「蟲毒」の話にもちょっと通じる部分があるのですが。

 とかく、そういうことだとすると……。
 
 ローザミスティカの再練成が成功した暁には、結局ローザミスティカは回収されて、お父様の望む方向に活用されちゃうのかなぁ、とも。
 そして、動力源としては、確かにお父様に「再会」出来ますよ、と。


 なにしろ、7体の人形は、言わば、「以前の大ローザミスティカすらきちんと活用出来なかった程度」の、スペックな訳です。アストラル体ですら扱えるローゼンさんが、何らかの新ハードウェアを製作しても(もしくは、既に製作していても)別に不思議は無い、というか。
 まぁ、勿論、物語としては、ローザミスティカの完全な練成に成功すれば、ハードウェア自体は残っている既存の機体を再活用で十分、という可能性の方が高そうですけれども。


 ローザミスティカ錬金術で言う所の「賢者の石」と同等のものではないか、という見方もあるかとは思うのですが、その方向に従えば、不完全なローザミスティカを、完全な賢者の石へと練成する為の7分割、と捉えることも出来る訳です。


 ……だとすると、お父様の、ローゼンメイデンへの愛情というのは、「もの」への愛情、ということなのかなぁ、とも。
 ローザミスティカ練成機能を持った、ちょっとした上級人工知能を持つ、高性能るつぼ*2への愛情。
 人間が、パソコンや車に愛着を持つのと一緒、みたいな。
 時期がくればパソコンは更新しなきゃいけなかったりもするし、車も新しくしなければいけなかったりもする。
 でも、それはそれらの「もの」を、「もの」として愛していないわけじゃない。
 だが、必要に迫られれば、そうすることもある、と。(蒼星石辺りは、そんな愛情であったと判明しても、(アニメ版の蒼星石に限れば、一時は動揺しそうではありますが、)全力でそれを受け入れそうですが。某・烈海王風に言うならば、「私は、一向に構わん!」とかそんな方向で。)
 アニメ版の話になってしまいますが、トロイメントのラストでは「お父様」らしき人が微笑みながら真紅達を修理?するシーンが僅かだけ出て来ます。その顔は描かれませんが、口元がやたら微笑んでいたのが印象に残っております。あれは、間違い無く愛情としての笑顔なのでしょうが、個人的には、どことなく気持ち悪さ、いや、気味の悪さみたいなものも感じたりしたのも事実でした。それはつまり、そういう意味での「愛情」だから、ということなのかも知れません。


 さて、ふと、思い出したのが、ニトロプラスの「ファントムオブインフェルノ」(PC版)というゲームのとある一節でした。

 ―――非情さと慈愛とは、相反するものではない。

 これは、劇中では、サイス・マスターという、暗殺者育成のプロフェッショナルである人物が、自らの手駒である暗殺者の少女アインに対し、いわば、彼女のこれまでの働きへの報酬として、僅かばかりの温情(死の許可)を見せたシーンで、出て来たものでした。サイスは、アインがもうこれ以上、暗殺者としての使用には耐えられないと判断し、言わば、廃棄処分として使い潰すついでとして、そのような許可を与えたのでした。
 そして、その言葉に、アインは感謝の眼差しを向けたのでした。
 確かにそれは、相反はしていなかった。(そういえば、「ファントム」の劇中にて、サイスがアインの「手入れ」を行うシーンがあります。サイスは、精密器機である銃器と同様の扱いで、精密な殺戮マシーンであるアインの裸体を「整備」していました。何となく、「道具への愛情」という意味合いで、どこか、上に述べたような話と重なる気もします。)
 

 ローゼンメイデン達にとっての唯一の神であり、創造主*3である、「お父様」ことローゼン。彼は、あくまで自らの手によって作り出されたドール達を「愛着のある道具」として愛し、慈しみつつ、同時に冷酷さをもって『ゲーム』の遂行、あるいは、「それ以外の手段」も含めたローザミスティカの練成を求めているのかも知れません*4


 ……いや、色々と酷い話なのですが。




 ところで、『メルクリウスプリティ』というパソコンゲーム*5があります。
 主人公は、錬金術パラケルススの弟子で、人工生命体(ホムンクルス)である、試験管内の妖精少女を育成し、何かの存在(無論、人間とは限らない)に育て上げる、というゲームでした。まぁ、いわゆる育成ゲームなのですね。……とかいいつつ、表向きは育成ゲーでも、実際は中々切ない、あるいはヘヴィな話とかが隠されていたりもするのですが、それはさておき。
 とかく、そういうゲームだったのですが、そのゲーム中に「クンスト」というコマンドが登場します。これは、その妖精の少女に「物質化」の術を行わせて、何かの宝石等の価値ある物を生産させる、というコマンドなのですね。で、主人公はその宝石を売り払ってまた妖精少女の育成費用をゲットしたりもする、と。
 で、何が言いたいかとというと、何となく、ローゼンメイデンによるローザミスティカの練成が、この「クンスト」とどこかでイメージが重なるなぁ、などと思ったりもするのでした。

 ……まぁ、余談になっちゃいますが、ただ、このゲームの主人公と、人工生命の間には、同種の生命同士のものとしての愛情が存在しております。実際に、明確な表現は無かったかも知れませんが*6「だだの、ごく普通の」女性に成長して、主人公と結ばれ、さらには子を為したたことを示唆する分岐エンディングもありますから*7。エンディング名は、そのままずばり「ふつうのおかあさん」。若い母と幼い娘が描かれた、実に和む、だが、何だかとっても温かな、幸せな気持ちになれる、印象深い一枚絵です。
 神にも等しい生命になったり、女王になったり、高名な錬金術士になったり、吟遊詩人になったり……、というその他の一般エンディングと比べればひたすら地味なエンディングですが、場合によってはただの妖精さんや、蝶々、猫さん、石にもどっちゃったりもする*8ホムンクルスの育成結果としては、人間になれただけたいしたもの、なのかも。いや、むしろ或る意味では、超越的な存在よりも、素晴らしい事なのかも知れません。なにしろ、「普通のひと」になれたのですから。しかも、母親に。(ちなみに、一部のエンディングの雰囲気はこちらhttp://www.home.cs.puon.net/k1ro/game/pritty.htmを見ると参考になるかも。ネタバレですが。「年老いた主人公を殺しにきた死神」なんてのも、なんとも切なく、なかなか印象深い絵です。「クンストの化身」も良い感じですが。)
 ……とかく、そういう意味では、ローゼンさんと人形達の間の「愛情」とはちと事情が異なるのかも、知れません。
 そういえば、ローゼンメイデンのアニメ原画集のタイトルが、「Kunstwerk」(クンスト・ヴェルク)でしたっけね。意味としては、芸術作品、美術品、その辺り*9だそうですが。

*1:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3『真紅はその方法を良しとせず、「私のやり方でアリスゲームを制する」、水銀燈は「全てのローザミスティカを集め、アリスになる」、雪華綺晶に至ってはローザミスティカ以外にアリスになる方法を知っている様な描写がある等、それぞれ別の思想があるが、共通している事はゲームを制したドールは父・ローゼンに会えるという事である。』

*2:るつぼってのは本来複数の物質を溶かして混ぜたりする器具ですから、錬金術的には別の器具名の方が適当かも知れませんが。単に、試験管、と言った方が良いのかな。

*3:そういえば、漫画「からくりサーカス」の自動人形(オートマータ)達は、自分達を開発した『中国人の錬金術師』(!)に対して『創造主様』という呼び名を使ってましたね。

*4:……なんというか、かなり違う話になるので、いずれ稿を改めて述べても良いかも知れませんが、ラプラスの魔は、一般的には「お父様」に近い立場と見なす方が自然かも知れませんが、何気に「お父様」に反旗を翻している可能性もあるのかも、とも思っています。あのうさぎさん、一応真紅達を人間扱い、というと変ですが、とかくそういう人格を持った存在としては扱っているようには見えるので。

*5:DC版もあるようですが。

*6:というか、雑誌でエンディング概要を確認しただけかも知れない。いかんせん、エンディングの数が多すぎるゲームなのです。全部をチェックするのは、パラメータいじりでもしない限りはなかなか難しく。

*7:その推測が成立つ傍証として、このエンディングにたどり着くためには、他の数値はごく普通で構わないが、隠しパラメーターの『恋慕』だけが全エンディング中、最高の数値を要求される、ということがある。そして、その数値が足りない場合は「普通の娘」エンディングになってしまうのだ。データ参考:http://www1.synapse.ne.jp/m_matumura/mercuriuspretty.htm

*8:ホムンクルスの元は土中から掘り出される鉱物生命である生命の種、とかそんな設定なので、「戻る」とも言える。

*9:http://www5.mediagalaxy.co.jp/sanshushadj/ Kunst・werk[knstvrkクンスト・ヴェルク](中性名詞)〔(単数の2格)‐[e]s/(複数の1・2・4格)‐e(複数の3格)‐en〕芸術作品,美術品Dieses Bild ist wirklich ein groses Kunstwerk.この絵はまさに偉大な芸術品だ