喩え話への違和感/軍事板と経済板と落下傘兵と炎上と


構造改革でデフレが止められないわけを、経済板のひとが軍板のひとに説明http://bewaad.com/20051108.html#p01(RE Vの日記http://d.hatena.ne.jp/REV/20051108#p6さんより)

(注記:後に、bewaad氏はこのエントリあたりの一連の騒動に関しての、「謝罪コメント」を既に2chに出していたり、後続エントリでこの件に関するフォローもしています。ご注意を。まぁ、それはさておいて。)

 色々と、面白いものだなぁ、というのが第一印象でした。
 もっとも、肯定的なモノではありませんが。
 
 というのも、私はちょうどこの「経済板の落下傘兵」達がなぜか大量に軍板に出現した頃の「前○ですがスレ」を眺めていたからなんですね。このbewaad氏が出現したタイミングのスレは見ていなかったのですが。
 そして、そんな無名の軍板住人と、無名の経済板落下傘兵?達の戦闘は、私には結局のところ軍板住民による落下傘兵の殲滅・掃討であったように見えた訳です。
 ところが、ぶっちゃけた話、bewaad氏には落下傘兵の方が議論としては正当であり、軍板住民は「理解できなかった」、そしてステレオタイプの批判を行った、という風に見えたらしい。

どちらの板にも愛着を持つ身としては大変つらいのですが、webmasterとしては軍板の方々におかれてはある種のステレオタイプなご批判が多いように見受けられます。とりわけ軍事関係では多くをご教示いただいた尊敬すべきコテハンの方であっても、経済についてきちんとご理解いただいた上でのご批判ではないように思えてなりませんので、
(以下略)

 

 それが経済のプロと素人の見方の違い、という風に言われてしまえばそれまでなのですが。

 で、私はこの喩え話に、何か根本的な違和感、或いは反感というものを同時に感じたりしたのでした。

 で、それは何かと考えてみると、この方はそもそも喩え話として、「太平洋戦争中の日本軍」を持ち出している訳ですね。どうやら自分はそこに反感を抱いたらしい。
 何故か。
 ぶっちゃけ、史実の日本軍は「負けて」居る訳ですね。
 しかも、まず普通にやったら負ける、と。勝つ方法を探すことが非常に困難だ。

例えば先の大戦において日本軍が次のような問題を抱えていたことについては、ある程度のコンセンサスが得られていると思います。

陸海軍の協同がまったくと言っていいほど機能していなかった。
シーレーン確保の重要性がまったくと言っていいほど認識されていなかった。
失敗をフィードバックして再発を防ぐ体制がなかなか整備されなかった。
ロジスティックスが貧弱だった。

しかしながら、これらの問題が仮に存在しなかったとしても負けていただろうということについても、同様にある程度のコンセンサスが得られていると思います。

 (強調は引用者)


 そう。第二次大戦中の日本は負けるべくして負けた。自分は軍事も素人ですから、詳しい論は展開出来ないが、多分勝つのは難しかったろう。
 
 つまり、ンなものを喩え話に出してどうするよ、ということなのですね。
 
 現在の日本の経済状況がその「喩え話」とイコールで結べるというのならば、何をしたって無駄という話になる。
 さらに言えば、そんな喩え話をするならば、アメリカは一体何に相当するんだろう? イギリスは? オランダは? 中国は? ソヴィエトは? それらを乱暴に一まとめにしたとして、「敵」とは一体何を指すのか?
 多分、それを挙げるのは難しいのではないかと思います。
 戦争は、基本的に二つ、若しくはそれ以上の勢力の、政治の延長としての暴力等の衝突です。そして、その両者は基本的に、戦略的な目標、というものを持っている筈だ。ある程度まともな国家同士の「ガチ」であるのなら。
 では、この喩え話を適応したとして、「敵」は? その「敵」の戦略目標は?
 今、日本政府が挑んでいる相手は「現実世界」そのものです。
 それは「敵」ではありません。同時に「味方」でもないが。
 「現実世界」はアメリカのように冷酷でもなければ温情的でもなく、手ごわくもなければ、甘くも無い。「不気味な黄色人種の国家を今のうちに叩いておこう」というような企みも無ければ、「このままだとアレだから、色々と支援しよう。ソヴィエトも怖いし」というような手加減やフォローも無い訳です。
 つまり、日本政府にとってのやりあう相手は、人間ではないのです。
 
 だからこそ、それは、「喩え話」としてあまりに不完全で、かつ、あまりにも恣意的なのではないか、と思った次第です。
 喩え話は便利だが、同時に往々として、それはあまりにも便利であるが故に、本質を見誤らせる。
 どこかのスレで、誰かが同じようなことを言っていたようにも思いますが。(11/10追記:http://d.hatena.ne.jp/Su-37/20051109#1131528931にて、「[言論]例え話の危険性http://vanillachips.net/archives/20051106_0206.phpRinRin王国より)/持論の強化に用いて失敗するケースも多い。強固な論は例えを用いる必要がない。」という項目を発見。ひょっとしたら、無意識にSu-37さんの所のこの部分が頭にあったのかも知れません。タイミング的にも。自分としては、2chだったと思ったのですが……)


 ……とかまぁ、こんなことを感じた訳ですが。そのbewaad氏の地味に炎上しているエントリをパーッと眺めて行くと。
 

◆ JSF (2005-11-08 22:25)
いやちょっと苦笑するしかないですね。あのスレは私もROMってました。既にroomer氏が述べられていますが、軍板の政治スレッドは板の特性上、外交政策や安全保障面から政治を語る事が主眼になります。経済の話はそもそもがスレ違い。それなのに経済板の一部の住人が「軍板は小泉信者で反リフレ派」と決め付けて啓蒙活動を始めたものだから叩き出した、それだけの話です。だからbewaad氏、貴方も軍板で啓蒙など考えないことです。軍板が経済板に攻め込んだとか貴方の所に攻め込んだとかいうなら話は別ですが、現実は全く逆でしょう?軍板は攻め込まれた被害者に他ならず、あの場でインフレターゲット論など持ち出しても誰も聞く耳を持ちません。スレ違いですから誰も興味を示しません。軍板が民主党を評価しないのは、彼らの防衛予算案が話にならないから。亀井静香を鼻で笑うのは、彼がミサイルディフェンスで「PAC3を全国配備すべき」と有効射程を無視した主張を繰り返し軍事音痴振りを露呈し続けているから。板の特性上、こういった事で判断されてしまうのは当然ですし、そもそもあそこはネタスレなのですが。


 ……(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
 
 JSF氏キテル━━━━━━(;´Д`)━━━━━━ !!!!!
 
(JSF氏というのは、軍板やその他政治系の板とかの方ではかなり有名な論客の方なのですね。極東板には「市民運動観測所」という左傾プロ市民や、逆に右でも疑問符がつけられちゃったサイトを観測する一連のスレ(現行は【電波】市民運動観測所 44ヶ所目【再放送】 http://tmp5.2ch.net/test/read.cgi/asia/1130666149/)があるのですが、そちらでは、工作員さんその他を明確なソースその他によって徹底的に論破するその姿勢から「魔王」と恐れられているお方であります。ちなみにJSF氏のブログ本体、週刊オブイェクトhttp://obiekt.seesaa.net/は「魔王城」と呼ばれておりますw まぁ、私も最近は観測所スレは行ったり行かなかったりなので、最近の現状はあまり正確には把握しては居ないのですが……)

 で、そこからさらに見てみると、
 
週刊オブイェクト:bewaad氏、軍板のネタスレに降臨http://obiekt.seesaa.net/article/9105602.html

 魔王城にエントリまでキテル━━━━━━(;´Д`)━━━━━━ !!!!!
 
 そして、そこに蟹様(軍板では有名なコテハンの方です)の、bewaad氏への反論カキコの引用が。ちょっと長いですが、なかなか参考になります。

231 :名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. :2005/11/08(火) 21:38:55 ID:??? ?#
皆様ごきげんよう

   , ´  ̄`ヽ 
   ! . ノベ)ソ)     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  从(!゚ ヮ゚从   /異動直前で忙しいこともあるのでごく簡単に
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    く/_|〉     \
     UU       \___________________

ttp://bewaad.com/20051108.html
>陸海軍の協同がまったくと言っていいほど機能していなかった。
 真珠湾攻撃からラバウル占領までの一連の作戦行動は、後に最も成功した陸海共同作戦と連合国側に評価されています。
我が国の統帥において機能していなかったのは、陸海軍の共同ではなく、それぞれの省庁の機能を戦争遂行に集中させるための統帥本部であり、行政権の最終的権能者が存在しなかった事です。協同が成立していなかったのは、陸海軍のみならず全ての省庁であって、その中の一部分でしかない陸海軍の対立のみをことさら強調するのは、当時の我が国の行政機構の問題を無視することに繋がるかと。

>シーレーン確保の重要性がまったくと言っていいほど認識されていなかった。
 洋上連絡線の確保の重要性は、昭和初期の時点で海軍はきちんと認識し、軍備補充計画で後の対潜護衛艦のプロトタイプとなる海防艦が建造されています。問題は、予算の不足によって対米正面戦備の補充が精一杯であり、プロトタイプの海防艦すら希望通りのものが建造できなかったという国力の不足にあります。最初は12.7cm高角砲4門を搭載した1200t級のものを大蔵省に稟議したものが、予算の不足によって870tで12.7cm平射砲3門搭載のフネになってしまったわけですし。かといって、当時「大和」型2隻と「翔鶴」型2隻の主力艦の建造は、対米戦備整備上絶対に必要であった以上、泣く泣く海防艦の試作艦のダウンスペックを受け入れた、というのが実際のところなわけです。
 後に海防艦の大量建艦が遅れたように見えるのは、小型艦艇の補充はすさまじい勢いで消耗していく艦隊駆逐艦の建造と損傷艦の修理に建艦能力のほとんどがつぎ込まれたためであり、むしろ「松」型艦隊駆逐艦海防艦の大量建造が間に合ったことを考えるならば、国力の限界以上に戦域を広げた統帥の失敗の都合の良いすり替えとして利用されていると考えるべきでしょう。

235 :名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. :2005/11/08(火) 21:40:17 ID:??? ?#
>231の続きです。

>失敗をフィードバックして再発を防ぐ体制がなかなか整備されなかった。
 フィードバックの体制そのものはありましたが、それを実行できるだけの国力が無かっただけの話です。陸軍の機械化自動車化の必要性はノモンハン事件の時点で陸軍は理解していますが、それに沿った機甲部隊の整備の目処がたったのはなんと昭和19年以降であり、海軍が戦艦に見切りをつけて酸素魚雷による統制水雷戦と空母機動部隊と陸上基地航空隊による水上打撃戦闘に海軍戦備の充実を始めたのは昭和11年からであったりします。実はミッドウェー海戦の時点で海軍は完全に水上艦そのものに見切りをつけ、陸上基地航空隊にその戦力整備の主力を移しておりますが、その目処がたつのはなんと昭和21年以降、というのが実際のところでした。
 問題は、国力の不足によるフィードバックのサイクルの長さであり、体制そのものは存在したわけです。

>ロジスティックスが貧弱だった。
 これこそ、まさしく国力の不足以外のなにものでもないわけですね。例えば太平洋戦争中の我が国の最大のネックは、石油以上に粗鋼生産力の低さにありました。鉄は産業の米といわれます通り、あらゆる産業にとって無くてはならない存在ですが、何しろ当時の我が国は法律によって製鉄会社が規制されるという状況にあり、戦争の必要によって粗鋼生産能力を急速に向上させる事が不可能な状態にありました。なにしろ、鉄鋼会社の管轄は商工省であって陸海軍省は指一本触れる事ができなかったのですから。例えば貨物船を必要数作ろうにも、年間600万トンの鉄を巡ってあらゆる陸海軍を含めたあらゆる部局が奪い合いをしていたわけであり、そうした状況を調整するための最終的な権限を有する存在がいなかったのです。

237 :名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. :2005/11/08(火) 21:41:24 ID:??? ?#
>235の続きです。

 日本軍が抱えていた問題とは、簡単に言うならば行政権の最終的な責任者が存在せず、それぞれの役所の長の寄り合いが妥協で政治を行っていた、というその点にこそあり、それは日本軍だけの問題ではないわけです。
 つまり、当時の日本に必要であったのは、まさしく行政権を統合して執行できるようにするための政治改革であり、経済を官僚が統制するその非効率性を打破する行政改革であり、大陸経済との結びつきが強すぎたために、大陸の混乱状況が即日本の政治や経済に影響を与えるという状況から脱却するための構造改革であるわけです。

 つまるところ、通説による日本軍批判では、軍事板の構成員に理解し得るような形での説明は成立し得ないのではないかと、私は考えるわけですが、いかがでしょうか?

(強調引用者)


 なるほどなぁ、と。特に、強調部分には色々と頷かされる面はあります。(もっとも、太平洋戦争の日本を喩え話として引き合いに出す時点で不適当である、という意見には私は変わりありませんが。)

 
 なんだか話が広がってしまいましたが、(というか、件の「前原ですが」スレもbewaad氏やその他経済板落下傘兵の皆さんの頑張りのせいもあってか、やたらスレが何本も新たに立って伸びまくっていたりするせいで、とても流れも追いきれないのですが)、つまるところ、軍板住民の感想は


401 名無し三等兵 sage New! 2005/11/09(水) 14:06:14 ID:???
しかし、経済板の人って好戦的なんだなw そもそも、この侵攻作戦は何が目的なんだ。
 
喧嘩売っておいて、不毛な議論の行き違いと来たか。

392 名無し三等兵 sage 2005/11/09(水) 14:02:04 ID:???
>>385
何が分からなかったのか。或いは何が間違っていると思ったのか?
そこのところを明確にしてもらえばここに来ている暇な経済板の人間や
bewaadはしっかりと応える事ができるので是非疑問や反論は表明して欲しい。



411 名無し三等兵 sage New! 2005/11/09(水) 14:11:14 ID:???
>>392
疑問ですか
 
「なんであんたらはこんなネタスレでそこまで必死になって啓蒙したがるんですか」

 まぁ、この辺りなんだろうなぁ、と。
 


 とりあえず、騒動を眺めている中で知ったのですが、経済板http://money4.2ch.net/eco/と経済「学」板http://academy4.2ch.net/economics/は違うらしいんですね。これは、なかなか面白い話だと思いました。まぁ、色んな空気があるのだな、と。

 
 最後に、件のbewaad氏のエントリに書き込まれていたコメントを一つ、引用。

◆ くまごろん (2005-11-09 02:57)
ここはかんべえさんの名言を進呈するべきかもしれませんね。


「式が合っていれば結果が間違っていても気にしないのが経済学者。
結果が合っていれば式が間違っていても気にしないのがエコノミスト


さて、現実の経済を動かしているのは誰でしょう

 これもまた、ある種の真理なのかも知れません。